ひとり<ふたり

頼りない父さんが運転する車に乗って早速向かったこの前の店。



車内でも白熱した争いが続く中、俺は開き直ることにした。



嫁と姑なんて仲が悪い生き物さ。



「お兄ちゃんのお歌、愛音大好きなの」

「聞いてくれてるの?」

「うん、パパの部屋に箱で置いてあるよ!!」



父さん…。



泣けてくるって…。



「林太郎、好きなことやったっていいんだぞ?」

「俺が選んだ道なんで引け目は感じないでください」

「どうやったらそんなにまともに育つんだ!?あの環境で…」

「週刊誌通り歪んでましたよ?」

「はははっ……すまない…」



俺に会わなかった理由はこの継母にもあることが今ならわかる。



うん、俺は別になんとも思ってないから。



ってのはウソだけど。



許してなるものか…。



「父さんが俺に会社渡したら破産させるかも」

「えっ!?それが目的か!?」

「ウソですよ…。たぶんね」

「…………すまなかった」



おもしろい…。