ひとり<ふたり

近づいてきた手があたしの髪に触れた。


周りは暗闇と、炎の明かり。



小屋の明かりなんてほとんどここには届かない…。



「大丈夫だよ。ちゃんと帰れるから」

「うん…」

「俺が守ってあげる」



泣きそうになった。



リンがいつの間にかこんなに男らしくなってて…。



あたし、今現在もリンに守られてるような気がするよ…。



「髪…洗いたいのに…洗えないよね…」

「シャンプーあるじゃん。洗ってあげる」



リンが洗ってくれた髪…。



優しい手つき…。



あたし、今日のこと一生忘れないだろうな…。



今死んでも後悔はしないかもしれない。



「明日、電波入るとこまで行ったら父さんに電話しよう」

「何の電話ですか…」

「きっとどうにかなるよ」



とにかく、今はリンを信じよう。



ってか信じるしかないらしい。