『期待の新人グループ』とか『街中占拠ライブ』とか。



それはきっと事務所の策略。



ここまでやったら売れないはずがない。



まぁ今からだから。



その日の夜、俺と紅は眠れなかった。



胸がいっぱいで…。



「リン、絶対離れないからね?」

「うん。俺はそのつもり」

「あっ、これチョコ。一応彼女ですから」

「ありがと!!食わして!?」

「あ~ん」



甘い甘いバレンタインは結構印象に残るものになった。



父さんもちょっとだけでもいいから見ててくれたら嬉しいな…。



なんて心のどこかで思ったりもして…。



でもいいんだ、俺はこのまま大きくなるから。



いつか母さんも混ぜてこの話ができたら俺はきっと本当に幸せだろう。



「あたしも食べる?」

「いいの?」

「だって眠れない…でしょ?」



こんなバレンタインなら、来年も経験したいもんだと思った。