ひとり<ふたり

その日は学校が休みだったからみんな夕方まで練習してた。



練習なのになぜか達成感…。



きっとリンの歌が合わさったおかげ。



すっごい楽しかった!!



「マジ腹減ったぁ~!!」

「だいぶ歌ったもんね!!」

「超疲れた…」



二人乗りの自転車を漕ぐリンの背中にピタッとくっついた。



これ、すごい幸せかも…。



「ねぇねぇ、あの時の歌聞きたいな」

「路上で歌ったヤツ?」

「うん、それ」

「忘れたから違うのでいい?」

「へっ!?まさかあの時のって即興で作ったの!?」

「うん、だから俺が作ったヤツ、同じ歌は二度と歌えない。楽譜書けないし」



リンって天才肌…。



まぁ薄々気づいてはいたけど…。



「紅は録音したら楽譜に起こせる?」

「まぁそれなりに耳はいいんで。自信ないけど」

「じゃあ曲作りはふたりでやろうな~」



楽しそうなリンの声に嬉しくなる。



あたしといて楽しい?



そんなの聞かなくてもわかる。



「リ~ン?超好き」

「俺も~」



死ぬほど好きって言いたい…。