ひとり<ふたり

紅は究極に嫌そうな顔をしてたけど、俺は3日、ここに住み込むって決めた。



こんな願ってもないチャンス、そうそうない。



しかもカワイイ子猫もいるし…。



その日はキーボードを部屋に運んで、ちょっと紅を拘束。



「なんで一人暮らしなの?」

「さぁ?それより紅タン、こっちおいで?」

「ヤダ!!絶対ヤダ!!昨日みたいにギュッとかする気でしょ!!」

「自意識過剰」

「なっ!?ムカつくっ!!」



紅といるのは気が楽だ…。



赤い顔でプリプリ怒ってる…。



どうすれば泣いてくれんだろ。



殴る?蹴る?



いやいや、それは歪んだ俺でもさすがにムリですわ。



「紅、弾いてみて」

「1曲500円ね」

「金取るのかよ…」

「リクエストは?」

「俺アレがいい、車のCMのヤツ!!名前知らないけど」

「わかった、アレね?」



紅がキーボードを弾いてる…。



それは俺がリクエストした聞き覚えのあるCMの曲…。



大口叩いてたわけじゃなかったらしい…。