「あ、こけちゃったの?
かわいそうね」

入ってきたのは…絵里だった。
そんな返答に思わず彼女を見る佳奈。
すると…

「何?
あ、先生?ちょっと教えてほしいところがあるんですけど」

こないだ間違えていた箇所を質問する絵里。

「安藤、後でいいか?」

と彼。
が、

「じゃ、失礼します」

佳奈は準備室をでた。
そして貴子の隣に座り、

「なんだか…頭痛い」

笑いながら机にうつぶせる。

「佳奈?」

貴子が心配そうに言うが、

「大丈夫。彼女のあの変わり様には…参る」

結局、授業が始まるまで佳奈は何も話さなかった。

『どうやら…バカ女のほうが上手かしら』

恭子がノートに書いて貴子に見せる。

『悪知恵に関しては…ずば抜けてると思うのよね…』

返事を書く貴子。

『奴…やってくれるかしら?』

『やらなけれは…私たちがやるのみよ』

それを貴子がみせると…
二人、準備室に目をやった。
うれしそうに彼に話しかける絵里。

殴りたい…

そんな衝動に駆られる二人だった。