「絵里?」

黙って先を歩く絵里についていく佳奈。
パソコン室のある棟の階段を登り、冷暖房の機械室を通り屋上へ出た。

「話って…」

佳奈が話しかけようとすると、パッと振り向いた絵里。
表情が…怒りになっている。

「何様?」

「え?」

「あんた、田村先生に付きまとって何考えてんの?」

「ちょっと…」

いきなり言われた言葉に戸惑う佳奈。

「迷惑なのよ、部活だってそうよ、あなたは副、私は長。
なのに部長面してっ」

「ちょっと待って、来れなかったでしょ?
生徒会が忙しかったから」

「だから何?だから何やってもいいってこと?」

「そんなこと言ってるんじゃなくて…」

「田村先生と池田先生を味方につけたつもり?」

「は?」

意味不明なことばかりを並べて言う絵里に思わず絶句する佳奈。

「私に恥をかかせて笑ってたわけ?」

先日のことを言っているのだと思い、

「あれは、私の研修の一つだったし、資料は職員用だったから」

そう言うと、佳奈の右頬に痛みが走った。