「自分で選んだことでもさ、やりたいと思ったら色んなこと犠牲にしてでもやりたいって言うヤツもいると思うけど?」

部室に忘れ物を取りに行っていた貴子がやってきた。

「そうか?」

「そうだよ。
少なくとも絵里はそういう奴だと思うけどね」

彼と佳奈の間に立って言う貴子。

そんな彼女を見て小さなため息を付くと、

「分かってるよ。
俺だってお前らの教師だ。
安藤がどういう性格の生徒かくらい分かってるよ。
でも、何でもかんでもはできんだろ」

と彼が言った。

「まぁ、悪化しないといいけどね」

と貴子が言った。
それが本当のことになるなんて思っていない佳奈だった。