新学期が始まった。

「相変わらず暑いね」

貴子と昇降口で会うと一言目にはその言葉だ。
校舎の中に入ると、まず、恭子が声をかけてきた。

「M学園内定おめでとうございます」

と。

「もう知ってんじゃん」

笑いながら貴子が言うと、

「張り出されてるんだ…」

佳奈が呟く。
なんだか嫌な雰囲気だ。
絵里が…きっと何か言ってくる筈だ。

「ちょっと購買に行かなきゃ」

と恭子。

「私は部室に行ってくる」

「じゃ、鞄持って行っとくよ」

「ありがと」

「後で購買に行くよ」

貴子の鞄を持ち、恭子に言うとそれぞれ分かれた。
教室に荷物を置くと恭子のところへ向かっていた時のことである。

「内定したのね」

後ろから声をかけられる…絵里だ。
頷くと、

「あんたみたいのが内定するなんて思ってもみなかったわ。
試しに私も受けてみようかしらね」

なんて言い出したのだ。

「…」

馬鹿にされていることは重々承知だ。
だが、言い返す気にも…ならない。
クスッと笑った絵里。

「あんたみたいなの…むかつくのよね」

そう言うと、思い切り佳奈にぶつかり、その場を立ち去った。
その後姿を見…
ため息をつく佳奈だった。