スノウ

彼女はまたビックリした顔をする。

きっと僕に正体を見破られてしまったからなんだろう。

漸く分かった。彼女の正体はこの“白い雪”。

雪は嫌いなのにスノウは好きだって矛盾しすぎにも程がある。

でも少しでも彼女の中の暗闇が取り除ければ良い。


『有難ウ』


一筋の涙が流れたかと思えば、にっこりと優しく微笑むスノウ。

僕の言葉を素直に受け入れたんだと感じた瞬間でもあった。

そしてそのままスッと消えて行った。

握っていた手の感触はまだ微かに残っている。

その感触を感じながら、僕は天を仰いだ。