スノウ

母を早くに亡くし、父に育てられていた兄と僕。

その父も5年前に他界している。死んだ理由は雪崩(なだれ)に巻き込まれたから。

それ以降僕は父を奪った雪が大嫌いになった。

……ああ、嫌な事を思い出してしまう。

でも雪崩は自然現象であって故意に起こせるものではない。


「君は悪くない。僕の大事な人を奪っていないから」


人間じゃないって分かっている。足が透けているから。

その正体も多分僕は分かっていた。でも認めたくはなかった。

認めてしまったら多分彼女はもっと傷付いてしまうと思うから。