スノウ

僕がその言葉を不思議に思う。

だって僕が彼女と出会ったのはあれが最初。

それまで1度も面識はなかった。

彼女はそう言って今にも泣き出しそうな表情をしてみせる。

僕が何かを言う前に彼女はすっと消えて行った。まるで幽霊のように。

それ以降冬が終わるであろう時期になるまで、

僕は彼女の姿を見かける事はなくなった。

僕以外の人達はあの少女の存在を忘れてしまっているようだった。

傷も癒えてすっかり元気になった今も、僕は忘れられなかった。

早く見つけないと。頭の中はそればかり。

でければあの少女は何処かへ遠くに消えてしまうんじゃないかと思ったから。