スノウ

丁度戻って兄はそんな僕の姿を心配する。

“まだ無茶はするな”と。これは無茶なんかじゃない。

そう言い返したかったけれど、今の兄には何を言っても通用しない気がして、

言うのをやめた。少女がいた事を言おうともしたけれど、

出入り口は兄が入って来た扉、もしくはその反対側の窓。

そこで僕はハッとする。彼女は一体何処から入って来たのだろう。

窓は雪が降っているから閉まったまま。

扉も開く気配は全く見られなかった。何者なのだろうかと、別の寒気がした。

まさか彼女は人間ではないと言うのか。

それならば薄着だった理由等も分かるが、それは有り得ない事だ。

人間は動物と言った生き物以外で生命活動をする物を僕は見た事がないから。