何で俺がこんなに涼に尽くすか?

そんなの……主人と付き人だからに決まっているでしょう。

涼への忠誠なんて書類一つですぐに崩れ去る。

そうですね、最悪かもしれません。

ですが、一つだけ言わせていただきます。

涼への忠誠を崩したくないから、その書類は大切にしまってあります。
誰にも見付からないように。

涼と二人で隠したんです。

その書類をどちらかが破り捨てた日が俺と涼の『お別れ』の日。

俺から破り捨てる気はありません。
俺の身分は付き人。
主人に寄り慕うだけの人間。
そんな奴に契約を破棄する資格なんて無い。

でも主人が一言、破れ、と命令するならば俺はいつでも破り捨てるでしょう。

涼は命令を嫌っていますが……。


さぁ、後は涼の手に委ねましょうか……。