そして当日。
あんなにまだまだだと思っていたのに、今日だ。
なんて早いのだろうか。
美咲とは相変わらずでけんかしてから1度も話していない。
でも、あたしは謝ろうと思っている。
彼女に嫌われてる女なんか悠真に好かれないと思うから。
悠真のためなの。

「美咲ごめんね!」
悠真の前であたしがあっさり謝ると、美咲は目をぱちくりさせ、おどおどしながらもあたしを許してくれた。
「美咲も悪いから・・・」
そう一言言ったかと思うと悠真に抱きつき、泣き出した。
悠真は頭をなでて、俺がいるからって言っていた。
あんな女にだまされるなんて!
大きな声で叫びたかった。
でも、もちろん叫ばない。
すぐに2人から離れて、岩見のところに行った。
ホント、美咲の思う壺にはまってしまう。
なんて馬鹿なんだろう。

修学旅行の行き先は北海道の札幌。
宿泊先に荷物を置き、班行動が始まった。
あたし達は4人・・・というより2対2になってしまった。
悠真はあたしや岩見に少し話しかけてくれるけれど、美咲がそんな間も作らせないくらいに話しかけている。
悠真は笑顔に対応しているけれど、あたしだったらうっとおしいなあ。
「岩見!アメあげる。」
ポケットに入っていたアメを岩見にあげた。
岩見はさっきからお腹がすいたといっていたから。
美咲のあの調子じゃどこか立ち寄れそうもないし。
「ありがと。」
岩見は袋をあけ、口に入れてすぐに噛んでいた。
耳にはアメを噛む音、目には悠真と美咲の笑顔がにじんできた。