あたし、蓮見明莉がまだ5歳のとき。
幼稚園を卒園して、大きくてピカピカなランドセルを背負い始めたころ。
初めて恋をした。

入学式はじめから、友達ができなかったあたし。
ひっこみじあんで、声をかけられなかったのだ。
周りの子はみんな友達いっぱい作って、楽しそうに話していた。
あたしはそんな姿を遠くから見ているだけだった。
寂しかったし、友達は欲しかったけど。
椅子に座って、動かないで、ただ下だけを見ていた。
そんなとき、現われたのが悠真。
「なにしてるの?ひまなの?いっしょにあそぼう!」
暗かったあたしに明るく話しかけてくれた。
悠真は人気者で友達に困っていないのに。
あたしなんかに話しかけてくれた。
「あそんでもいいの?あかりとあそんでくれるの?」
そう問いかけると、悠真は優しい笑顔で言ったんだ。
「あかりちゃんとあそびたいの。」
こうしてあたしの恋が始まった。
誰にも秘密だったあたしだけの初恋。

あれからあたし達は仲良くなった。
名前も呼び捨てで呼び合うようになった。
家も近かったから、一緒に登下校もした。
「おはよう!ゆうまちこくだよ!」
いつもあたしが迎えに行って、悠真を5分くらい待っていた。
待つことが辛いなんて思ったコトなかった。
「おはよう」って言って1番始めに話したかった。
「よーし!きょうそうだよ!スタート!」
朝は毎日の悠真の家から学校まで競争した。
大きいランドセルをぶんぶん揺らして、笑いながら走った。
本当に、笑いが絶えない仲だった。