変わってしまったんだ。

頭に浮かんだ当然の感想が、僕の心を締めつけた。
幾度も思い浮かべた故郷の風景は、まるでそれ自体、記憶ミスだとでも言うように、なにもかもが消え去っていた。

 たった三十年の間に、様々な重大事件が続いたそうだ。

 ただの時間経過以上のものを、確かに僕は目の当たりにしていた。
あるはずのない坂道が、町の中心部だと教えられた地点から延びている。
この広場も、こんな風ではなかった。僕たちが歩いた町並みは、消滅してしまったのだろう。

 時の流れは容赦ないものだ。
襲い掛かる現実には抗えず。

 僕は未知の坂に足を進める。
あの丘に出るようにと、半ば祈り、怯えるように、一歩ずつ。