「俺、留学なんかしたくない。婚約もしたくない。自分が選んだ道を自分で歩きたいんや。恋愛も結婚も親父に口出しされたくない」
ドカッ!!!!
鈍い音と共に、大雅の体が投げ飛ばされた。
「お前は、俺の後継者にはなれん。勝手にしろ」
大雅のお父さんは、チラっと私を見た。
そして、お父さんは丁寧に私に向かって頭を下げた。
姿勢を正して、歩き始めたお父さん。
「あの!!」
呼び止めた私に、お父さんはゆっくり振り向いて言った。
「大雅のこと、よろしく頼んだよ。またいつか会うことになるだろう」
小さな声で。
大雅には聞こえへん声で。
ちゃんと愛があるってわかる。
厳しく言ったのは、大雅への愛情や。
遠くまで飛ばされた大雅は、ようやく立ち上がり叫ぶ。
「親父!!俺は絶対親父の会社、継いでやる!コイツと結婚して・・・・・・いつか絶対認めてもらうから!!」
本当にドラマみたいやった。
唇の端から血が出ていた。
乱れた髪も、悔しそうな声も、どこの誰よりもかっこいい。

