大雅の顔が、切なくて…… 涙が止まらん。 「あほかぁ、杏奈ぁ。お前が追いかけてこんかったら……俺は新しい人生やり直せたのに。お前のそんな顔見たらぁ・・・・・・ 置いてなんかいけんやろが」 伸ばした手が、かすかに私の前髪に当たる。 触れそうで触れない肌。 大雅は私の肩を抱こうとして、その手を握り締めて、ため息をついた。 「どうしたらええねん、俺は」 「どうしたらいいん、私……」 コツコツコツコツ 足音が近付く。 大雅のお父さんや。 あと数秒で、大雅は連れていかれてしまう。