「手にもう一枚、カードを隠していただろ。イカサマはやめろ」
「なんだと!?」
イカサマ男と賭けていたもう一人の男が立ち上がる。
「なっ! ふざけんなっ!」
イカサマ男は急いで反論する。
「おかしいと思ったんだ! さっきから何回も一人で大儲けしやがって!」
「何を言いやがる! お前が弱いだけだろ! だいたい、こんな尻の青い坊主が」
「試してみるか?」
一気に場が静まり返った。
客の視線はすべて雪夜に向けられていた。
「俺が、まだ尻の青い坊主なのか、試してみるか?」
嘲笑うように言う。
「…………後悔すんなよ?」
イカサマ男も、嘲笑うように雪夜を見下ろした。
「いいだろう。坊主が勝ったら、金を五枚くれてやるよ。……ただし、坊主が負けたら倍だ」
条件は圧倒的にこちらが不利な内容だ。
だが、雪夜の反応は周りの予想を翻すものだった。
「……ああ。契約成立だ」
悪戯な笑みを雪夜は浮かべたのだった。

