PEACE


規則的に並べられた小さな石。

同じ間隔で埋め込まれ、全部で八つある。

中心には意図的に空けられたと思われる穴があるのが、少し気になった。

羅針盤にかかれている文字なのか絵なのか判断できない模様が、また美しかった。

「佐伯さんって誰なの?」

そういえば、と思い出したように言う。

「佐伯さんは俺の恩人……みたいな感じだ。この羅針盤も、佐伯さんのものなんだ」

羅針盤の宝石が、星を写す。

「『困った時は羅針盤が導いてくれる』。いつもそう言っては笑っていたよ。『お前に会
えたのもこれのお陰だ』って」

慈しむような雪夜の目は、羅針盤を真っ直ぐに見ていた。

――こんな雪夜、初めて見た。

(とても、大切な人なんだろうな)

それ以上は聞かなくてもわかった。

「いつか、会ってみたいな。その佐伯さんに」

雪夜にそんな顔をさせる人。

奈久留は微笑んだ。

「……ああ。そうだな」

雪夜の苦い表情に、奈久留は気が付かなかった。