「ありがとう……」
やっと涙が尽き、落ち着いた奈久留は、雪夜の服が濡れているのを見て、申し訳ない気持ちがでいっぱいになった。
「落ち着いたか?」
「うん」
「よかった」
雪夜は泣き疲れて腫れている奈久留の瞼に触れる。
「ねぇ、雪夜。何処に行ってたの?」
なんだか胸の奥がくすぐったくなり、いてもたってもいられなく聞く。
「あぁ。一応、追っ手が来てないか確認しに行ってたんだ」
「そっか」
空を見上げると、星が沢山散りばっており、月がまだ真上にある。
すると、雪夜が何かを取り出した。
「それって、おじいちゃんが言ってた羅針盤?」
「ああ」
羅針盤はなんとも神秘的なものだった。

