貞永を追いかけてスタジオ入りしたあたしは、慣れない場所に戸惑っていた。
広いセットは、主人公の家の中らしい。
本当のラストは結婚式なんだけれども、もうそのシーンは撮り終えたらしく、この家でのシーンを撮り終えたら「ラブリング」の撮影は終わり。
…今の情報は、小西さんからもらった資料の中にあったのだけれども。
あたしはスタジオの端で、「依知」になりきって演技をしている貞永をジーッと見ていた。
『光里は本当に幸せ者だよな。俺という彼氏がいるんだから』
…うん。
演技じゃなくて、プライベートでもこのセリフ言いそうだよな、貞永。
あたしが頭を抱えて考えていると、横から誰かの声がした。
「…貞永君の新しいマネージャーさんですか?」
「え…?は、はい!」
急いで現実世界に戻って振り向く。
そこには、優しそうなオーラを醸し出した男性が立っていた。
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