赤くなっていく顔と貞永の息遣いが残っている耳。


一体どっちを隠せばいいのかあたふたするあたし。




「ちょ…さだな…!」



「という訳だから。じゃ、またな」




満足そうにニッコリと微笑んだ貞永は、あたしに向かって手を振り上げると、搭乗口に向かって行く。


貞永の姿が見えなくなると同時に、後ろから猛の声がした。




「姉ちゃんどうだった…?って、何があったんだよ!?」



「へ…?」




猛にまじまじと見つめられたあたしは、恥ずかしくなって顔を背ける。



…弟に、こんな恥ずかしい所を見せたくなかったよっ!


こんな顔になっているのも、貞永のせいだ!




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