「う…っく…」
どのくらい走ったのか、正直分からない。
偶然近くにあった柱に自分の身を隠すようにして、あたしは力が抜けたようにズルズルと座り込んだ。
周りの人の視線も気にする事なく、あたしはひたすら涙を溢れさせていた。
…情けない。
こんなに弱い自分が情けなさ過ぎる。
貞永がどこに行こうと、あたし達は一生会えない訳ではない。
連絡しようと思えば取り合える関係。
それでも…貞永と一生会えなくなる気がして、怖かった。
「…笑顔で…見送りたかったのにな」
「笑顔じゃなくてもいいじゃん」
独り言のはずだった言葉は、誰かに繋げられて会話となる。
涙を流している事など忘れて咄嗟に振り向くと、そこには急いで追いかけてきてくれたであろう、猛が居た。
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