咄嗟にあたしが貞永から距離を取ると、楽屋のドアが開けられた。
「貞永さん、そろそろ出番なんで準備お願いします!」
「分かりました」
そう答える貞永は、俳優としての顔つきに変わっていて。
…演技出来る男は怖い、そう思わざるを得なかった。
「失礼します」と去っていったドラマのスタッフを見送って、貞永はテキパキと指示を出し始めた。
「あゆ、台本と飲み物持って来て。これから仕事の時はこの二つは忘れるなよ」
「…分かった」
マネージャーというか…今の状態じゃ、あたし下僕だよ!
…絶対に仕事が出来るマネージャーになってみせるんだから。
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