あたしの実家に着く頃には、猛は既に玄関の前に居た。


窓を開けて、思い切り「猛ーっ!」と名前を呼ぶと、あたしの車に気が付いた猛がこっちに駆け寄ってくる。


後部座席に無事に座った事を確認すると、あたしはアクセルを踏んでスピードを上げた。




「光輝くんとは空港で待ち合わせ?」



「ううん。最初は貞永はタクシーで行こうとしてたんだけど、それをあたしが止めたの」



「…止めた?」



「だって、あたしは貞永のマネージャーだよ?最後まで、貞永のサポートをしていたかったから…」




昨日、隼人が提案した写真撮影を終えると、急いであたし達は貞永の家へと向かった。


その帰り道、貞永は「空港までタクシーで行く」と言っていたのだ。


だけどそれを、あたしが反対した。




―――「あたしは貞永が日本を発つまでマネージャーなの。最後までマネージャーらしい仕事をさせてよ」―――




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