貞永のハリウッド行きが決まった翌日。
ハッピードリームはその情報を朝一番に解禁し、新聞やワイドショーは貞永の話題で持ちきりとなった。
突然のニュースに悲しむファンの声も多く、日本中の大事な存在がこの土地から居なくなるという事に、賛否両論が飛び交う。
そして、そんな騒動の渦の中心にいる貞永は、ドラマ撮影にインタビュー、ハリウッド行きについての会見の準備で大忙し。
あたしも裏で、関係者の人達やマスコミと調整を行う。
休む暇など与えられないあたし達は、朝からそれぞれお互いの仕事に翻弄されていた。
「…分かりました小西さん。では、夕方の五時から会見という事で…」
無事に会見をする会場も押さえられたという電話が小西さんからあり、あたしはホッと胸を撫で下ろす。
悲しんでいる余裕など無いほど、仕事は忙しさを増していた。
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