「あゆ、お前…」
「あれ?嬉しいはずなのに…なんで泣いてるんだろうね!夢にまた一歩近付けるのに、そんな悲しい顔しないでよ!」
泣き顔でこんな事を言っても説得力ゼロだけど、あたしは必死に笑顔を取り繕う。
そんな状態のあたしを、貞永はそっと抱きしめた。
…貞永の体温が、気持ちいい。
「無理すんなって」
「貞永…?」
「あゆ、笑顔作ろうって思ってるだろうけどそれ無駄。…今は素直に泣いとけ」
あたしの身体の中に、スッと貞永の言葉が染み込んでくる。
さっき起こった出来事が、現実なんだって事を改めて思い知らされる。
「ば…バカッ…!あたし…必死に我慢…してた…のにっ…!」
「お前に我慢は似合わねぇよ」
貞永の一言一言が、あたしの心を溶かしていく。
あたしは貞永の胸にしがみ付いて、声を上げて泣いた。
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