「神風さん…」
「という訳だ。今のドラマ撮影が終わり次第、すぐに日本を出国する。ハリウッドの方に迷惑を掛けても失礼だからな」
神風さんは必要事項をさっさと言い終えると、すぐさまソファーから立ち上がる。
この光景を見た小西さんも、慌てて立ち上がった。
「神風さん!俺―――」
「男に二言目は無いぞ、貞永。いいか、すぐ出発できるように荷物を纏めておくんだ」
キッ…!と厳しい表情で貞永を睨みつけると、神風さんと小西さんは談話室を後にした。
…小西さん、神風さんの前じゃ何も出来なかった。
それ位、神風さんの存在が大きいという事…?
「あゆ…俺…」
「うん。貞永はもっと優れた俳優になれるじゃない!よかっ―――」
素直に、お祝いの言葉を掛けてあげるべきなのに。
溢れ出した涙によって、その考えは無謀な物へと変わっていった。
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