「姉ちゃん、顔が死んでるんだけど」
「うるさい、あたしだって気分が悪い時くらいあるんだけど」
猛が恐る恐る顔を覗いてきて、あたしはそれを拒否する。
こんな幸せな日に沈んでちゃダメだって事くらい分かってる。
折角の楽しい雰囲気を台無しにしているっていう自覚もある。
だけど…今の気持ちでは、楽しめるモノも楽しめない。
「ちょっと二階に上がってくるね」
あたしは作り笑いを浮かべて貞永と猛に宣言すると、そっと騒がしいリビングを出て行った。
階段を上って、懐かしい部屋へと急ぐ。
まだ実家暮らしをしていた頃のあたしの部屋は、そのまま残されてある。
家具も、その配置も、何もかもが変わっていない。
お母さんがいつでも帰ってこれるようにと、綺麗に掃除してくれていたその部屋は、あたしの感情を爆発させるのには充分だった。
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