お互い無言の状態で、あたし達は隼人の楽屋に到着した。
貞永に触れているあたしの手がじんわりと汗をかいてきそうで、咄嗟に貞永から手を離して距離を取った。
そんなあたしの行動を理解したような貞永は、全てを理解したかのように苦笑した。
「…そうだよな、あゆは俺が怖いもんな」
「貞永…?」
貞永の言葉によって、あたしはハッとした。
…そうだった!
あたし、貞永と絶賛喧嘩中なんだった…!
色々あり過ぎて、その事を忘れていた自分が怖い。
「えっと…」
咄嗟に言い訳しようとしたあたしの口を、貞永の手が塞ぐ。
そして、顔を苦しそうにしかめながら、貞永は言葉を発した。
「…ごめん」
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