「そうだ」
楽屋を出て行く直前、何かを思い出したかのように冬馬があたしの方に近付いてきた。
「冬馬…?」
「あゆ、イイ事教えてあげる」
そう伝えられた途端、近付いてくる冬馬の顔。
突然の事にびっくりして、あたしの身体は固まってしまう。
そして、冬馬の整った顔があたしの耳元に近付いてきて…
「―――んだよ?」
「ふぇっ…!?」
「っていう事だから。バイバイ、あゆに貞永くん!」
…信じられない事を、言い逃げしていきやがった。
「なんだよアイツ。よく掴めねーヤツ」
「…そう、だねッ!」
あたしは、冬馬から聞いた話の内容を隠す為に、必死に平然を装っていた。
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