「あゆ、ごちそーさん」
気が付けば、隣でひたすらコーラを飲んでいた貞永は、既に立ち上がっていて。
「どこ行くの?」
「スタジオ戻って進行状況の確認。細かいシーンって言っても、スタートラインの映画に変わりはないからな」
…さすが主演俳優。
やっぱり人とどこか心持ちが違うと思う。
「分かった。いってらっしゃい」
「あゆもジュース飲んだら来いよ?」
貞永はフッと微笑むと、一人で撮影現場へと戻っていった。
―――告白の答え、決めないと。
自分の気持ちを優先させるか、
それとも、冬馬の気持ちを優先させるか。
時間は、待ってくれない。
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