とりあえず、貞永に言われた通りに財布のチャックを開ける。
「で、小銭入れから金出して、それで好きな飲みモン買えよ」
「了解ー…って、はい?」
「だから、聞こえなかったのかよ。奢ってやるって言ってんだよ」
…今のは、空耳でしょうか?
「貞永…」
「あ゙?」
「優しい貞永…気持ち悪い」
「…奢んねーぞ?」
あたしの余計な一言により、貞永の機嫌が一気に悪くなっていくのが感じられる。
「ごめん!奢って!」
「素直じゃねーヤツ」
貞永はフッと笑うと、あたしから財布を取り上げて小銭を自販の中へと入れた。
…というか、お互いがお互いの飲み物を奢った事になって、意味ないと思うんだけどなぁ。
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