「…キャッ!」 しばらく走っていると、あたしは誰かとぶつかってしまった。 よろめく身体を、大きくてガッチリとした腕が支える。 「すいませ―――」 「あゆ?」 その声で、あたしの表情が凍りついた。 …今一番、聞きたくない声。 視界を隠している前髪を手で退けながら、あたしはそっと上を向く。 「…お前どうしたんだよ?」 「えっと…」 「しかも、かなり顔色悪いぞ?」 「なんでもないよ、 ―――貞永っ…!」 .