「猛ってズルいんだけど」
「どんなトコが?」
「若い所とか」
「ひがみかよ」
あの後、時々笑い合いながら、あたしは猛とくだらない話をたくさんした。
姉弟って、特別な関係だと思う。
親にさえ言えない事も、ポロッと簡単に言えちゃうんだもん。
その理由は分からないけど、昔からあたしは、猛に話を聞いてもらうと楽になるんだよね。
「そういえば猛、まだバンド続けてるんだっけ?」
「あたりめーじゃん。俺、姉ちゃんが思ってるより上手いんだけど」
ふと、猛が組んでいるバンドの話になった。
猛は中学生の時から、同級生と「Truth」というバンドを組んでいる。
担当はギターで、バンドを始めた頃は耳を塞ぎたくなるほどに演奏が下手だったっけ?
「今度ライブあるから、姉ちゃんも誰か誘って来いよ」
「仕事がなかったらね」
懐かしい記憶に顔が綻びながらも、あたしは猛との電話を切った。
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