「ちょっと、この空気どうにかしてよね!?」




あたしの言葉にも反応しない、エロ狼と乙女系。


お互いがお互いを睨み合っていて、その隙にあたしが入る事など許されていない。



…どうすればいいのよっ!

心の中でそう呟いて、自分の頭を抱えようとした時だった。




「ねぇ、あゆ」



「へ…?」




ふと、楽屋中に冬馬の声が響き渡った。


不機嫌な貞永を睨みながら、器用にあたしの名前を呼んだ冬馬は、ニコッと笑った。




「貞永くん、いいよね?」



「…勝手にしろ!俺は頑張って足掻くけどな!」




そう冬馬に向かって言い捨てるように、貞永は楽屋を出て行った。




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