勝手に貞永はあたしを好きだと勘違いし、挙句の果てにライバル宣言してきた女王様こと佐田さんの楽屋から、やっとの思いで抜け出してきたあたし。


勢いよく貞永の楽屋のドアを開けると、側に置いてあったペットボトルのお茶を一気飲みする。




「…ふぁー!やっぱお茶って最高!そう思わない?貞永に冬―――」




ペットボトルを握り締めたまま振り向いた先には、あの女王様の笑顔に匹敵するほどの凍りついた空気が流れていた。




「…えーっと、貞永?」



「…あぁ゙?」




貞永はムスッとした表情で冬馬の事を凝視しているし、




「…冬馬もどうしたの?」



「なんでもないよ?」




冬馬だって表面上の笑顔を浮かべているだけで、心から笑ってない。


…この短時間で、一体何があったのよ!?




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