「はっきり言って、あたしは貞永に対して恋愛感情なんか持っていません」
「………」
そう言い切った途端、佐田さんの顔から表情がなくなっていくのが分かった。
広がっていく沈黙の世界を抜け出そうと、あたしは早口で言葉の続きを発した。
「確かに、あたし達は昔付き合っていました。世間で言う「元カレ」と「元カノ」の関係です。だけど、今は「俳優」と「マネージャー」なんです。きっと貞永だって、あたしの事はなんとも思ってな―――」
「…絶対、そうだと言い切れるのかしら?」
「へ…?」
予想外の佐田さんの言葉に、あたしは固まってしまった。
それってどういう意味?
そう聞こうとしたあたしの口は、佐田さんの言葉によって閉じてしまう。
「仮に中森さんが光輝くんを何とも思っていなくても、果たして光輝くんも同じ気持ちだなんて、絶対に言い切れるのかしら?」
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