さっきまでの睨みを効かせた視線は消えてなくなり、その代わりにあたしに向けられているのは、怖いほどうるうるした目。
女王様のように腰に添えられていた手は、顔の前でブリッコポーズを取るために使われている。
おまけにツンとした口調は、もはや別人ですか?と疑いたくなる程に甘えたカンジに。
こんな現象が起きているのは、間違いなく―――
「えーっと、佐田さん?」
「なあに?中森さぁん!」
…佐田さん、だよね?
これはあたしを引っ掛ける為の作戦!?
それとも、佐田さんが二重人格っていうだけ!?
どっち?どっちよ!?
完全にパニックに陥っていたあたしは、思わず足をジタバタさせてしまい、
…佐田さんの足を、踏んでしまった。
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