「あゆ、いるでしょ?」 ドキン、と胸が大きく鳴ったのが分かった。 楽屋の外から、あたしの名前を呼び続ける声。 …冬馬だ。 この凛とした声は、紛れもなく冬馬だ。 「…ちょっ貞永!どいてよ!」 予想外の展開に焦ったのか、あたしの抵抗に簡単に身体をよろめかせた貞永。 その隙を付いて、あたしは咄嗟に貞永から離れる。 「…ざけんな、あの乙女系マネ」 ムスッとしてイスに座り直す貞永をよそに、あたしは乱れた服を直すと、すぐさま楽屋の扉を開けに立ち上がった。 .