「離してよ、あゆ」
「やーだーっ…!」
「ジャケット皺になっちゃう」
「べーつーにーいーいーっ…!」
「離さないと俺と蘭の関係、話してあげないよ?」
冬馬がそう告げた瞬間、あっけなくあたしの手がジャケットから離れていく。
…なんて単純なんだ、あたし。
そんな自分が少しだけ情けなく思えながらも、あたしは冬馬の顔をジッと見つめる。
「話してくれるよね?」
「ジャケット皺になっちゃったけどね」
これまた変わってなかった容赦ない冬馬の言葉に、あたしはグサッと矢を突きつけられた気持ちになった。
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