カチンコチンに固まるあたしに気付いたのか、冬馬は楽屋のドアに貼り付けてある紙を眺める。
そこにはハッキリとした明朝体で、「貞永光輝様」と書いてあって。
「あ…間違えたのは俺か」
高校時代と全く変わらなく惚けていた冬馬は、ニッコリとあたしに笑いかけてきた。
「どういう事…?」
「何が?」
「だから全部よ!なんで佐田さんの楽屋に向かおうとしてたの?というか冬馬がここにいるの!?」
「落ち着いて、あゆ」
「落ーちー着ーけーらーれーなーいーっ…!」
あたしはそう叫びながら、冬馬が羽織っているジャケットを鷲掴みにした。
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