『……うん…っ!』


ポロッと溢れた涙と、震える声に夏木君はギョッとした顔で立ち上がった。


「は!?
ちょっ…何泣いてんだよ?」


ティッシュを手に取り、焦りながらあたしの顔をグイグイ拭く夏木君が可笑しくて吹き出した。


『痛…そんなに擦ったら痛いよ、夏木君っ』


パッと近距離で視線が交わり、二人してプッと吹き出し笑った。


「お前…何その顔、不細工!」


『ひっど!
夏木君が顔擦るからでしょ!?』


こんな事でわだかまりが消えてしまったあたし達は、その日は仲良くカレーを食べました。


夏木君が“頑張ってたじゃん”と一言言ってくれて、あたしの体育祭はいい思い出になったのでした。