紗耶香の家を出ると、家の前で隼人くんに会った。



『置いてくなよ〜』


隼人くんは口を尖らせて言った。



『俺はそんな風に紗耶香にベタボレな直希が好きだけどね』


隼人くんは俺の肩をトンと叩くと、俺の前を通り過ぎて、家に入ろうとした。



『ちょっ…俺が紗耶香にベタボレってなんで…』


“知ってんの?”って続けようとしたけど、隼人くんがニヤニヤした顔で俺を見てたから、やめた。



なぜか今日は、野中といい、青木といい、隼人くんといい、キモチを言い当てられる。


俺のキモチを伝えなきゃいけないのに伝えられない、紗耶香と濱口先輩には全く伝わらないのに。