「今日の模試はひどかったわ〜」


解答用紙を集め終わり、先生が退室して行ったと同時に、隣に座るアキちゃんがため息をついた。

今日は、高校に入学してから初めての模擬試験。

土曜を返上して行われ、国・数・英の3科目。


でも、まだまだ大学受験なんかには程遠いから、形式は簡単なもので、試験時間も短いから午前中だけで終わった。


「雄太ー、これからどうする?」


カバンに参考書を詰めながら、アキちゃんは後ろを振り向いた。


「暇だからみんなでメシでも行く?――零ちゃんは?」


「あ、ごめん――あたしはちょっと」


今まで、ふたりの誘いを断ったことなんてなかったから、アキちゃんは驚いたようにあたしを見た。


「あ、デート?」


「――うん、ごめんね」


アキちゃんはにやりと笑った。


「いいこといいこと。ラブラブで羨ましいわ」


「じゃあ、おれらはふたりで寂しくマックでも行きますかねぇ」


雄太くんがいたずらっぽく言って、ふたりは報告よろしく、と帰っていった。



ひとりになったあたしは、トイレの鏡の前で、身だしなみの最終チェック。


だって、なんといっても今日は制服デート!