やはり休日の市立病院と言うだけあって、ロビーは看護師さんやお見舞いに来た人なんかでいっぱいだった。


「あの、木山裕子さんの病室は――」


入り口すぐの受付で尋ねると、若い看護師さんが教えてくれた。


「3階の、310号室です――」





エレベーターで3階まで上がり、薬品の独特なにおいが鼻につく廊下を長いこと歩いて、ようやく部屋を見つけた。


「あら、零ちゃん」


中は4人部屋で、奥の右側のベッドに、腰にコルセットのようなものを巻いたアキママが横たわっていた。

その周りには、アキとアキパパの姿も。


「こんにちは。どうですか?具合のほうは」


「わざわざごめんなさいね、零ちゃんにまでお見舞い来させて」


ぎっくり腰なんて恥ずかしいわ、と、アキのお母さんはバツが悪そうに笑った。


「ありがとね、零」


あたしの差し出したケーキの箱を受け取りつつ、アキが苦笑している。


「お母さんもほんっとバカなんだから」


「でも、大事にならなくてよかったよ」