「うん...何色がいいかなぁ」


「そりゃあ、黒とか?」


「――むりむり!洗濯したとき、お母さんになんて言われることか...」


散々ふたりで悩んだあげく、サテンのフリルが揺れる――白地に濃いピンクの刺繍が綺麗なものを買った。

あんまり、大人ぶるようなことはしたくないから。


「これでオッケーね。あとは――」


アキちゃんはそう言うと、珍しく頼りない笑顔を浮かべて、あたしのほうを振り向いた。


「メンタル面の準備だけだね」


「うん――」


正直、心の準備なんて何もできていない。

先生と、そういうことになるなんて――想像もつかないし、実感もわかない。


でもきっと、その時は少しずつ迫ってきているんだと思う。


「でも、嫌なら――拒否することも大事よ」


アキちゃんはそう言ったけれど、あたしは大丈夫だと思う。

嫌なわけじゃない。
そりゃあ、あたしだって先生とエッチしたい。


でも、何もわからないから――怖くなってしまうだけ。



――とは言えども。

やっぱり怖いし、痛いのならしたくないというのが本音です。


この問題は、大きな敵となって――あたしの当分の未来をふさいでいた。