ゆっくりその人が頭を持ち上ると やわらかそうな焦げ茶の髪がゆれた きれいな目であたしをまっすぐ見つめて ピアノから離れて一歩ずつ近づいてくる 何言われるんだろ…… ドキドキしてその人を見てると 机の前でかがんで視線をあたしに合わせた 覗き込むようにあたしの瞳を探り 「もう起きて?眠り姫」 クスリ やわらかく微笑んだ 「もう昼休憩はおしまいだよ」 「あ……」 時計を見ると次の授業まで後、5分